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https://ocw.kyoto-u.ac.jp/course/913
2015.7.11-12
第2回 京都大学 − 稲盛財団合同京都賞シンポジウム
http://kuip.hq.kyoto-u.ac.jp/ja/archives/2015/about/
[生物科学分野]
平田 聡(京都大学野生動物研究センター 教授)
講演テーマ「チンパンジーとボノボの社会的知性-人間の心の進化的起源の探求-」
チンパンジーとボノボはヒトに最も近縁な生き物である。彼らについての研究によって、人間の本性の進化的基盤の理解に至ることができる。ヒトの学名はホモ・サピエンスであり、ラテン語の「知恵のある人」に由来する。それでは、人間はいかにして知恵を得るに至ったのだろうか?社会的知性仮説では、知性の進化は複雑な社会に起因すると主張される。社会の中で、個体は様々な社会的課題に直面する。他者との競合、協力、葛藤解決などである。話者はこれまで、様々な社会的場面を実験的に作り出して、類人猿の社会的知性に関する研究をおこなってきた。例えば協力に関する研究では、2個体のチンパンジーが1本のひもの両端をそれぞれ同時に持って引っ張ると報酬が得られるという課題を設定した。この課題でチンパンジーは自己の行動を相手に合わせて調整することを学習することができた。その他、アイトラッカーや脳波測定、超音波画像診断装置などの最新の機器を使って類人猿の認知と行動を比較する研究をおこなってきた。チンパンジーとボノボを対象にしたこうした比較研究によって、われわれは人間の本性の進化的基盤を理解することができる。
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