京都大学 教育学研究科 2020レクチャーシリーズ
越境する「日本型教育」の歴史的・多角的理解に向けて
https://ocw.kyoto-u.ac.jp/course/990/

第3回
世界に羽ばたく生活綴方? ―『世界の子ども』(全15巻、平凡社、1955-1957年)にみる「翻訳」の問題
駒込 武
京都大学大学院 教育学研究科 教授

要旨
生活綴方運動は、近代日本における草の根教育運動としてよく知られています。1950年代には生活綴方という思想と方法を世界に広めようとする挑戦的なプロジェクトがなされました。国分一太郎(1911-1985)や成田忠久(1897-1960)ら戦前期以来の運動の指導的人物が、著名なエスペランティストたちと協力しながら世界中の子どもたちの書いた作文を集めて、『世界の子ども』(全15巻、平凡社、1955-1957年)として出版したのです。
作文を集めようとする過程で、「そもそも『生活綴方』とは何か?」という問いが浮かび上がりました。冷戦体制下に内戦に引き裂かれた地域や脱植民地化をめぐる行き詰まりに遭遇した地域からは作文が集めにくいという問題もありました。試行錯誤に満ちた経験から何を学べるか、考えてみたいと思います。

チャプター
00:00 | 講師紹介
07:05 | 1.『世界のこども』はどのような本か?
29:24 | 2. どのような作文が「生活綴方」的とみなされたのか?
41:01 | 2-1. フランスからの反応
49:15 | 2-2. イギリスからの反応
52:09 | 2-3. 中国からの反応
57:38 | 2-4. 台湾への対応
1:05:09 | 3. まとめに代えて-「生活綴方」概念の概念くだき

2020年9月25日
Zoom開催
京都大学大学院教育学研究科 グローバル教育展開オフィス

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