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第7回 京都大学 − 稲盛財団合同京都賞シンポジウム「世界を動かした技術とその道しるべ -技術革新と生命倫理-」

「ヒト生殖細胞誘導研究:意義と展望」
斎藤 通紀(京都大学 高等研究院 教授)

生殖細胞は、精子・卵子に分化し、その融合により新しい個体を形成、我々の遺伝情報やエピゲノム情報を次世代に継承する。生殖細胞の発生機構の解明は、遺伝情報を継承・多様化(進化)する機構やエピゲノム制御機構の解明に直結し、不妊や遺伝病・エピゲノム異常発症機序の解明につながる。

我々は、培養ディッシュ上で、マウスES細胞/iPS細胞から、精子・卵子・さらには健常な産仔に貢献する能力を有する始原生殖細胞様細胞を誘導する技術を開発した。本培養系を用いて、我々は、エピゲノムリプログラミングの分子機構や卵母細胞分化・減数分裂誘導機構など、生殖細胞の発生に必須の現象の分子機構を解明した。

我々は、実験動物として使用しうる霊長類の中でヒトに最も近縁のカニクイザルを用いた研究を推進し、マウス・サル・ヒトにおける多能性細胞系譜の特性や霊長類生殖細胞の発生機構を解明した。これら成果を基盤に、ヒトiPS細胞からヒト始原生殖細胞様細胞を誘導し、さらに、ヒト始原生殖細胞様細胞を卵原細胞に成熟させ、エピゲノムリプログラミングを誘導することに成功した。

本講演では、ヒト生殖細胞誘導研究の意義と展望を議論したい。

#京都賞シンポジウム #斎藤通紀 #エピゲノムリプログラミング #京都大学

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京都大学-稲盛財団合同京都賞シンポジウム(略称“KUIP”クイップ)は、京都大学主催・公益財団法人稲盛財団共催により、2014年から毎年開催している国際シンポジウムです。2020年度は初めてオンラインで開催いたしました。

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