第8回 京都大学 − 稲盛財団合同京都賞シンポジウム 「免疫系による個体統御ーがん、老化、脳、腸内細菌」

「免疫細胞を介した生理システム間の生化学的相互作用」
シドニア・ファガラサン(理化学研究所 生命医科学研究センター 粘膜免疫研究チームリーダー)

リンパ球をはじめとする免疫細胞は、免疫応答を起こす環境中に存在するさまざまなタンパク質からのシグナルを受容することにより活性化が制御されている。しかしながら、免疫細胞が活性化することによって生成する低分子代謝物は、免疫応答における重要な役割を有する可能性が示唆されているのにも関わらず、その全容は未だ解明されていない。最新の研究により、免疫細胞が生成または消費する低分子代謝産物は免疫応答の活性化の度合いを規定している可能性が示されている。これらのことから、我々は免疫細胞が生成する低分子代謝物が、環境シグナルとして免疫細胞どうしの相互作用に深く関与し、免疫制御系において重要な働きがあると考えている。本講演では、免疫細胞であるB細胞および抗体産生性形質細胞が低分子代謝産物を介して、抗腫瘍免疫を抑えることができる、免疫抑制性マクロファージが誘導されることを論じる。以前より知られているサイトカインなどのタンパク質のみならず、B細胞より産生される低分子代謝産物も免疫制御を担っていることを明らかにしたことで、これらが免疫疾患に対する新たな創薬ターゲットになると考えている。

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京都大学-稲盛財団合同京都賞シンポジウム(略称“KUIP”クイップ)は、京都大学主催・公益財団法人稲盛財団共催により、2014年から毎年開催している国際シンポジウムです。昨年に続き2021年度もオンラインで開催しました。

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