世界有数の熱帯林と生物多様性を持つインドネシアの植生減少が世界的に懸念されていますが、一部で植生が増加したという指摘も出ています。古澤拓郎 アジア・アフリカ地域研究研究科教授、松平一成 同特任助教、株式会社パスコ 古恵良拓哉氏、同 石岡義則氏、リクソン・シブリアン 北スマトラ大学教授、アグン・ウィチャクソノ ガジャマダ大学講師のグループは、インドネシア全土という広域を対象に、20年間という長期間にわたり、高い時間分解能と、細かい行政単位で、一貫性のある地球観測データを分析するという包括的な大規模分析を実施し、その結果都市を除いた、ほぼ全ての県で植生指数(NDVI)が増加していることを明らかにしました。フィールドワークと統計資料によるさらなる分析から、人口都市集中、農林業の拡大、森林保護の推進が、その主要因であると考えられました。この植生増加が、自然回復や二酸化炭素吸収源の増加につながるかは、さらなる研究が必要ですが、本研究は地球環境問題に取り組む機関や研究者にとって貴重な情報源となります。

 本研究成果は、2023年5月23日に、国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

https://www.nature.com/articles/s41598-023-35330-1